フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)



【第41回】ソフィーの計略

 思った通り、ルテティアの入口は厳戒態勢が敷かれていた。
「それはこっちの読み通りよ。私が交渉してみるわ。」
 ソフィーが門番の前に出た。



 アレシア軍の兵士ってのは、どいつもこいつもいけ好かない顔をしているわ。不細工という意味じゃなくて、顔つきが完全に利己主義で、生理的嫌悪感を隠し切れないのよ。



 ルテティアの門番としては、そう尋ねるのは常套手段よね。ここはソフィーに任せましょう。下手にあたし達が口を出したら、かえって怪しまれるわ。



 何よこの門番。黙ってここを通さなかったら、ロジーナ叔母さんに言いつけて、あんたなんかもう治療してやらないんだから。
 かつてのソフィーだったら、そう言っていたと思うわ。でも、今のソフィーは違う。落ち着き払って、門番に言った。
「まあ、門番さんは、それがお仕事だから仕方がないわね。でも、門番さんも『ロジーナ殿』と言っているということは、門番さんも、叔母のお世話にはなっているってことでしょう。そのようなお世話になっている方の親類も見分けられないようでは、やはり下っ端ってことね。もう少し話のわかる偉い門番さんだと思っていたのに、残念だわ。」
「何だと、この小娘が。」
「ええ、私は見ての通り小娘よ、下っ端の門番さん。」
 ソフィーの心理作戦が功を奏しているようね。門番が襤褸(ボロ)を出すのも時間の問題だわ。
 と、そこへ緑色の髪をした少女が登場した。



「な、貴様……。メスガキが出しゃばるんじゃねえ。ルテティアの警護を崩壊させる気か!」
 全く、この門番ときたら、子どもにしか威張れないのかしら。こういうヤツほど、将軍や王様の前では直立不動か平身低頭しかできなかったりするのよね。
 と、そこにフォルゲン伯爵似の少し地位が上と思われる兵士が来た。



「アネット! 久しぶりね。叔母様はお元気かしら?」
 ソフィーが叫んだ。



「わかったわ。今度、ゆっくり遊びに来てね。もし、門番が通してくれなかったら、私の名前を出してもいいからね。」
「ありがとう、アネット。それじゃあ、またね!」
 そしてソフィーは、門番には目もくれず、フォルゲン伯爵似の兵士に会釈をしてルテティアを出た。あたし、リーゼル、クリスもソフィーと同じことをした。
 後でアネットから聞いた話だけど、私達がルテティアに入らずしてルテティアを去った後、ソフィーを疑った門番はフォルゲン伯爵似の上役の兵士に厳しく叱責され、その上役の兵士はアネットに平謝りをしたそうよ。いい気味だわ。



 この温泉ね。さっき一度ここに来てみたんだけど、そのときは「ここに寄っても仕方がない」って言って、無理矢理ルテティアへ行かせられたんだけど、結局ここが正解だったじゃないの。
 ちょっと、この物語の作者さん、聞いているの? あなた、このプレイ日記を見ているんでしょ?
 ……って、アレクだったら言っていたのかしら。もちろん、あたしはそんなこと言わないわよ(管理人注:もう言っています)



 ルテティア温泉の中は少し怖い雰囲気のBGMだわ。イザール温泉の方が心地よさそう。
「ここにロジーナさんがいるのね。」
 クリスが言う。と、そのとき……



 奥から悲鳴が聞こえたわ。もしかして……。
「急ぎましょう!」
 リーゼルの発言が終わらぬうちに、皆が一斉に温泉の奥へ走っていった。奥には……。



 見るからに醜悪なモンスターね。アレクのいない戦闘は初めてだけど、戦って見せるわ。



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2022/01/02
2022/03/06 一部修正


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