フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)



【第4回】遺跡に巣くう魔族

 遺跡の奥は更なる通路となっていた。



 宝箱から色々なアイテムを入手したり、敵と戦ってレベルが上がったり。
 戦闘中「バランスを崩す」と、次のターンは「バランスをとり直す」ことに専念する、即ち行動不能になるようだ。
 そして、ここにも……



 先程と同じパターンであるならば、どこかにまたレバーみたいなのがあるはずだ。レバーは……



 ありました。しかし、これまた高い位置にあるなあ。この洞窟の入口のスイッチと同じくらいの高さだろう。何気なくスイッチに手を伸ばそうとしたとき、エルが口を開いた。
「アレクゥ〜、また肩車……あ、ダメェェ〜!!」
 エルが私を突き飛ばしてしまうが、そのはずみに私の手はスイッチに触れていた。

 ガラガラガラガラ……

 どこかで何かが動く音がした。恐らくさっきの開かずの扉だろう。それにしても……。
「私が手を触れてもスイッチが作動するってことは、別にエルフ族でなくても誰でも洞窟に入れるんじゃ……。」
「き、きっと偶然よ! さあ、奥に行きましょう。」
「怪しいわね。」
 リーゼルとクリスが訝しそうにエルを見つめる。
「あはははは(乾いた笑い)……。奥に……進みましょ?」

 進んだ先は、この洞窟の入口で見えた、水晶玉のある部屋だった。ただ、今はこの水晶玉に触れても何も起こらない。と、部屋の奥に誰か、あるいは何かがいる。ひょっとして……。



 私は思わず口を開いた。
「魔族だとっ!? 貴様らがどうしてここに!?」



「仲間の仇よ! それに、エルフのオーブは返してもらうわ!」
 そう言ったエルの目には憎悪の光が灯っていた。
「フン、できるかな。貴様らにこのオレが倒せるものか!」

 マルクス教徒、フラーゲル(魔族)、マルクス教徒との戦闘である。



 中ボス戦闘は「逃げる」という選択肢を選べないようだ(それはそうだろう)。
 そして、(今気づいたが)彼女達全員のHPが私のHPを上回っている! いつの間に抜かされたんだろう? 特にクリスに至ってはもはやHPが4桁に突入している!
 戦闘中のコマンドは、エルが癒しの歌(味方全員のHPを回復)とラブソング(名前とは裏腹に敵に状態異常を起こさせる)、アレクがツバメ返し(敵単体を連続攻撃)、リーゼルとクリスがダブルアタック(敵2体を攻撃)と、主に消費MP0のスキルを使用して首尾よく倒すことができた(1回だけアレクがマルクス教徒に消費MP12のアイスボールを用いたが、このスキルはマルクス教徒のような雑魚には役不足だった)。



 マインドアップ(精神力+3)も手に入った。
 私とリーゼルとクリスはフラーゲルを弱らせるに徹し、エルがとどめをさした。フラーゲルが斃れた瞬間、エルの目から止めどもなく涙があふれだした。自分を殺そうとした魔族に対して抱いていた恐怖心と仲間の仇討ち本懐を遂げた安堵が綯い交ぜになり、感情を抑え切れなかったのだろう。泣いている姿を見ると、やはりエルも可憐な少女なんだなと思えてきた。まだ戦線の最前列に立てるレベルではないが、リーゼルとクリスもよく頑張った。
 冷静になって考えてみると、魔物の動向が気になる。これまでも確かに魔物はいたが、家畜を襲う程度のもので、誰かの物や何かの力を奪うということはなかった。
「確かにそうね。何か、変な知恵がついてきているような……。」
 落ち着きを取り戻したエルが、まだ赤みが残っている目をこちらに向けた。
「状況によっては、もう少し調査を続ける必要があるな。」
「オーブも取り戻したし、そろそろ洞窟を出たいわ。」
 リーゼルが口を開いた。クリスの視線が水晶玉に注がれる。



 …………



 洞窟の入口に通じる遺跡の最西端に戻ってきた。クリスが先程の水晶玉に手を触れたことにより、ここまでワープしてきたということだ。ここで、リーゼルがエルに“素朴な疑問”を投げかける。
「さっきは隊長がレバーに触れても何も問題なかったし、今回はクリスが水晶玉に触れても正常に機能したってことよね?」
「あはははは……」
「あっ! つまり、エルフ族でなくても洞窟内のスイッチは作動するってこと?」
 クリスもエルに問いかける。
「ってことは、この入口のレバーも、いちいちあんたが隊長に肩車されなくても、背の高い隊長がレバーに触れれば問題なかったのよね?」
「アレク隊長が好きなのは分かるけど……。」
 まあ、魔族を倒せたし、エルも仲間の仇討ちができて、リーゼルとクリスも戦いの経験を積むことができたから良しとしましょう。ひとまずは、長老に報告を。


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2019/06/26


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