暗黒教団の陰謀(プレイ日記)


【最終回】 惑星セラエノ
 バイアクヘーは時間と空間を超越して、地球からセラエノ星へと飛んだ。あなたの手には<輝くトラペゾヘドロン>がある。冒険はひとまず終わった。しかし<輝くトラペゾヘドロン>を使っての、また新たな冒険が、あなたを待っていることだろう。
 …って、これだけ? 最後の項目番号にたどり着いた結末がたったこれだけ? やはり、伝説のク×ゲーだけのことはある。
 そんな私の愚痴を尻目に、シュリュズベリィ博士が私に言った。
「無事に緊急脱出ができたようじゃな。これから地球を離れるが、心配無用じゃ。また戻って来られるからな。」

 セラエノ星には叔父がいた。
「おお、ALADDIN。待っていたぞ。」
「あれ、叔父さん。何でここにいるの? 確か、叔父さんはオネアレックにいたんじゃ…。」
「如何にも。ここはオネアレックだ。」
「ここはセラエノでは…あ!! そういうことか!!」
「そうだ。オネアレック(Onealec)のアルファベットを逆さまに読むとセラエノ(Celaeno)になるということだ。」
「それは、アルカード(Alucard)=ドラキュラ(Dracula)、トレボー(Trebor)=ロバート(robert)、ワードナ(Werdna)=アンドルー(Andrew)と同じ理屈?」
「うむ。『ペットを踏むな(Step on no pets)』『看護師が走る(Nurses run)』『マダム、私がアダムです(Madam,I'm Adam)』が回文になるのと同じことじゃ。まあ、ピーターパンに出てくるウェンディは踏めんがな。」
「ウェンディ?」
「あれ、お前知らんのか? ウェンディは空を飛び回る妖精じゃよ。」
「それを言うならティンカーベル(ティンク)でしょう。ウェンディは人間の女の子だよ。そもそも、ティンカーベルはピーターパンのペットじゃないし。」
「ああ、そうじゃったか…。記憶が良くないかもしれんのう。」
 やはり、叔父は気がふれているのかもしれない。
「ピースリー博士。ご無事であったか。」
「おお、これはシュリュズベリィ博士。この節は甥が大変お世話になりました。」
「いえいえ。<批判屋>君のお蔭で私の調査もうまくいきましたからのう。」
 そう言って、シュリュズベリィ博士は黒眼鏡をはずした。やはり目はなかった。
「<批判屋>君、私の“目”はここにあるのじゃ。」
 セラエノの一角にある石柱には2つの目があった。シュリュズベリィ博士は無造作にそれらの目を眼窩に嵌める。
「次に隕石が地球に近づくとき、我々は地球に戻ることができる。」
「それは、いつのことですか?」
「うむ…十年後じゃ。」
十年後?
「ふふふ、冗談じゃよ。じゃが、ピースリー博士の呪いが解けるまではたとえ地球に戻っても意味がないのじゃ。それまでに、クトゥルー神話についての研究を進めねばならん。」
 博士はそう言って、マイケルとジェシーの方を向いた。
「君達の力も貸してもらえないだろうか。何、マーシュ精錬所みたいな生贄になるなどの類は一切ないから心配はいらん。聞くところによると、君達は失業中らしいな。この機会に、ミスカトニック大学の職員になるのはいかがかな。」
「ありがとうございます。…で、俺たちは何をすればいいんですか?」
「マイケル君には警備員に、ジェシー君には図書館員になってもらおうかと思っておる。」
「いいんですか? 勝手に決めて。」
「大丈夫だ、ALADDIN。シュリュズベリィ博士は今の図書館長の恩師だし、私も図書館長の先輩にあたる。博士の紹介状があれば、まず間違いない。」
 こうして、私達はクトゥルー神話を学ぶことになった。神話を一通り学び終える頃には、インスマスの脅威もなくなるだろう。セ○ンイレ○ンインスマス店店長やジョシュ、ギルマンハウスの経営者や受付係の人たちにもお世話になった。そういった人たちも助けることができるだろう。だが、それはまた別の話にて……

〔最終STATUS(最終的な値/原点)
 生命力 … 27/27
 気力 … 17/17
 知性 … 25
 経験 … 10
 狂気 … 0
 所持金 … 0ドル
 手に入れたもの … 叔父の手帳、鉄製の鍵、奇妙な魚をかたどったペンダント×2、石笛、五芒星形の石、<輝くトラペゾヘドロン>
 メモ … 緊急脱出の呪文は『イア! イア! ハスター! ハスター・クフアヤク・ブルグトム・ブグトラグルン・ブルグトム アイ! アイ! ハスター!』
 RIP … @ナイフが背中に刺さって死亡(322)、A浜辺で射殺される(517)

* * * * * *

 当サイトのゲームブックプレイ日記『暗黒教団の陰謀 輝くトラペゾヘドロン』をここまで読んでくださいまして、誠にありがとうございました。
 この冒険はメインの部分(正解ルート)以外がかなり雑な構成で、項目番号の割に薄いつくりになっている感が否めませんでした。ク×ゲーという思いがより一層増すプレイ日記でした。プレイ開始から1年2か月かかりましたが、何とか終わらせることができました。
 このゲームブックの最大の問題点は、何といっても“ギャンブル”です。たった1度の“ギャンブル”失敗で容赦なくデッドエンドブロックに放り込まれる理不尽さは、たとえ元関脇高見山でなくても“ギャンブル”嫌いになります。ほとんどの人が放り込まれるであろうマーシュ精錬所と<悪魔の暗礁>、そしてアーカムに戻ろうとすると問答無用で殺される理不尽さは、クトゥルー神話の恐怖よりも腹立たしさの方が増します。
 基本的には東京創元社の『暗黒教団の陰謀 輝くトラペゾヘドロン』の文章表現を用いていますが、主人公<批判屋>の一人称表記は“私”に統一しました。また、アイテムの得失や物語の進行を一部前後させたり、加筆修正したりした箇所もあります。ご了承ください。

2016/12/25


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