奈落の帝王(プレイ日記)


【第18回】 黒い軍隊ふたたび

 技術点 … 10/10 ※戦闘時、剣を用いている場合のみ+1
 体力点 … 10/18
 運点 …  10/10
 時間表 … 13
 特筆点 … 《ハエ刺し》会得、色の変わる傷跡
 金貨 … 4
 食料 … 4
 所持品 … ファングセイン鋼の剣(戦闘の際6ゾロが出れば致命傷)、シージュのにおい玉、謎かけ盗賊の瓶、メマの吹き矢筒、グルシュの瓶、アラールの瓶、ザザズの瓶、バロロの丸盾(戦闘時、剣を用いている場合のみ技術点+1)、紋章のついたロケット、狐の手袋、ジェーラの葉

〔325〜〕
 私は馬を巨大な軍隊の方へ向ける。《時間表》のますにチェックする。黒いスズメバチめ、来るなら来い!もうお前らなんか怖くないぞ。何てったってアイドル…じゃなかった、何てったってこっちにはジェーラの葉が沢山あるんだ。1匹残らず燻(いぶ)り殺してやる。しばらく行くと、軍隊が視界に入った。また小さな村が一つ呑み込まれていく。農民の軍隊の真ん中に一つの輿が労を厭わぬ者達の手によって高々と掲げられている。輿に乗っている者が元兇に違いない。輿の上には例によって黒い雲が渦巻いている。相変わらずスズメバチ軍団は健在だな。恐らく村人達の魂は今頃奈落の底に幽閉されているのだろう。気の毒に…。さあ、ぐずぐずできない。私はアレセア婆さんの指示通りジェーラの葉で松明をつくることにする。
 襤褸(ボロ)布の上にジェーラの葉を乗せる。手近の木から枝を取ってくると、葉でいっぱいになった布を一方の端に巻きつけ、しっかりと結びつけた。よし、これで松明の出来上がり〜。さて、問題はこれからだ。火をつけるかどうかだ。火をつけるとスズメバチに遭遇する前に松明が燃え尽きてしまう恐れがある。かと言って、いざ必要なときになって速やかに火がつけられるとも限らない。私は迷ったが、やはりここで火をつけることにした。ジェーラの葉は多めに取って来たから、全部は布に巻きつけていない。まだ残りはある。私は火口箱から松明に火をつけた。やがて布が燻(くすぶ)り出した。やがて、ジェーラの煙が立ち込めた。まるで燻製みたいだ。これでよし。私はジェーラの松明を剣代わりにして軍隊の方へ馬を進めた。
 夥(おびただ)しい人の群れからは不快な悪臭が漂ってくる。所詮人も蛋白質の塊だからな……などと、有機化学的な観点から冷静に見つめる。斜面の底に着いたとき、暗い洞窟の脇を通った。やがて軍隊のそばまで来た。人々はこちらに気づかなかったが、案の定輿の上の黒い雲は気づきやがった。こちらへ向かって速度を増しながら押し寄せてくる。だが、今の私にはジェーラの松明という強力な味方がいる。私は燃え盛っているジェーラの松明を黒いスズメバチの方に向けた。どうだ、近づけるものなら近づいてみろ、あっかんべぇー。
 ところが、ここで思わぬアクシデントが発生した。急に風が出てジェーラの煙が散ったのだ。おーいおいおい、何てこったい。ツイていないなあ。ジェーラの煙が風に吹き飛ばされたことに気づいたスズメバチどもは再びこちらに迫ってくる。これはイカン、ひとまず逃げよう。だがどこへ?丘の斜面に戻る?谷に沿って右手に流れている川へ向かう?それとも、さっき通り過ぎた洞窟の入口へ避難する?――風除けを考えるならば、洞窟の入口へ逃げるのが最善手段だろう。どうか間に合いますように…。
 ありがたいことに、洞窟の入口は私と馬が隠れるのに充分な大きさがあった。日頃の行いが良い証拠だ(?)。ここなら風も凌げる。よし、ここでスズメバチを待ち伏せしよう。しかし、次の瞬間、動物の骨が松明めがけて飛んできた。骨は見事命中し、私の手からジェーラの松明を払い落とした。何だ?後ろを振り向くと、そこには哀れを誘う穴居人が大きな骨を握りしめていた。ジェーラの松明は穴居人のいる側の更に奥へと転がっていた。
「ソカツチアノ、ナツチオ、ナウア、ネルエ、ズト!ゾネメナト、アソチア、ノウホエ!」
 穴居人が怒っているのは想像に難くないが、何を言っているのかさっぱりわからない。
「…あの、……すみません。しばらくの間隠れさせてもらってもよろしいでしょうか?」
 私は穴居人の機嫌を損なわないよう穏やかに話しかける。
「ゼシレケ、ワウホエ、テアトメコ!クアツヅ、ヨオケケ、ゲシホア!アコリイ!」
 どうやらこの洞窟は穴居人の住居らしいが、穴居人が私を歓迎しているようにはとても見えなかった。ジェーラの松明は、私の手から叩き落とされた際に火が消えてしまった。もう一度火をつけ直す必要があるが、そのためには洞窟の奥へ行かなくてはならない。しかし、洞窟の奥への道は穴居人によって塞がれていた。
「お願いします。あの松明がないと私は非常に困るのです。どうか松明を取らせてください。」
「リモツサレケチビ、ワウホエ、ヨトネアトオアツヅ、メツサイデ!ユゾヲリアツチア、ツチクアツヅ!」
 そう言って、穴居人は飛びかかってきた。辛くも穴居人の骨を剣で受け止める。止むを得ん(里見浩太朗風に)!無益な争いは好まぬが、かくなる上はできるだけ早く穴居人を倒し、ジェーラの松明を取り戻すより他はない。もし5R以内に穴居人を倒せなかったら……もはやこれまで、ジェーラの松明なしで黒いスズメバチ軍団と戦うことになる。無論それは私の敗北を意味する……。
 〔穴居人〕  技術点  7     体力点  7
 〔批判屋〕  技術点 10(+1)  体力点 10
[戦闘ラウンド(青字DDの値)]
[1R] ×〔穴居人〕7+=12 < 21=11+10〔批判屋〕○ ⇒ 〔穴居人〕体力点−2=5
[2R] ×〔穴居人〕7+=10 < 20=11+〔批判屋〕○ ⇒ 〔穴居人〕体力点−2=3
[3R] ×〔穴居人〕7+=10 < 19=11+〔批判屋〕○ ⇒ 〔穴居人〕体力点−2=1
[4R] ×〔穴居人〕7+10=17 < 19=11+〔批判屋〕○ ⇒ 〔穴居人〕体力点−2=0
 安心せい、峰打ちじゃ。尤も、非は100%こっちにある。罪のない穴居人を殺すのはアランシアの英雄の所業ではない。1時間くらいすれば、気を失っている穴居人は意識を取り戻すだろう。
 私はジェーラの松明を拾い上げ、もう一度火を点ける。再び燻り出したとき、最初のスズメバチの群れが洞窟の入口に集まってきた。洞窟の奥へ逃げ込み、様子を見る。ここなら風で煙が散るなどということはないだろう。スズメバチの群れはこちらに向かって押し寄せてきた。あれ、ひょっとしてジェーラの煙がスズメバチに効いていないのではないか。しかし、スズメバチは次第に洞窟の地面に落ち始めた。これを見て俄然自信が湧いてきた。ほらほら、ハチどもめ、来るなら来てみろ。私はジェーラの松明をスズメバチに突きつけた。洞窟の床がみるみるうちに死んだスズメバチだらけになっていく。やがて、新手のスズメバチが洞窟に入ってこなくなった。漸く全滅したようだ。もう洞窟を出ても大丈夫だろう。
 かくして、私は黒いスズメバチ軍団を殲滅することに成功した。が!……何の罪もない穴居人にとんでもない迷惑をかけてしまった。何しろ洞窟の床がスズメバチの死骸で埋め尽くされているのだから。この光景は見ているだけで気持ち悪い。穴居人が目を覚ましたらどんな反応を示すことだろう。魂盗人のハチなんて代物は食糧にもなりそうにない。穴居人さん、多大なるご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
 これが故国ジパングだったら立派な犯罪だ。
【刑法第130条】(住居不法侵入罪・不退去罪)
 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
 まあ今回の件は、アランシアの平和のためという「正当な理由」があったことにしておきましょう(何というご都合主義)…。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは太い赤字
 技術点 … 10/10 ※戦闘時、剣を用いている場合のみ+1
 体力点 … 10/18
 運点 …  10/10
 時間表 … 14
 特筆点 … 《ハエ刺し》会得、色の変わる傷跡
 金貨 … 4
 食料 … 4
 所持品 … ファングセイン鋼の剣(戦闘の際6ゾロが出れば致命傷)、シージュのにおい玉、謎かけ盗賊の瓶、メマの吹き矢筒、グルシュの瓶、アラールの瓶、ザザズの瓶、バロロの丸盾(戦闘時、剣を用いている場合のみ技術点+1)、紋章のついたロケット、狐の手袋、ジェーラの葉
 (Save Number:144→235)

← 【第17回】へ | 【第19回】へ →


2013/10/16


直前のページに戻る

『奈落の帝王』のトップに戻る

ゲームブックプレイ録のトップに戻る

トップに戻る


(C)批判屋 管理人の許可なく本ホームページの内容を転載及び複写することを禁じます。