奈落の帝王(プレイ日記)


【第1回】 最初の決断

〔STATUS(現在の値/原点)
 技術点 … 10/10
 体力点 … 18/18
 運点 … 10/10
 時間表 … 0
 特筆点 … なし
 金貨 … 5
 食料 … 5
 所持品 … ファングセイン鋼の剣(戦闘の際6ゾロが出れば致命傷)

〔1〜〕
 これほどの申し出をどうして断れようか。他の十人の冒険者がすぐ志願するだろうし、キャロリーナ男爵夫人に忠誠を誓う点では決して彼らに引けをとらない。諸国を遍歴する冒険者以上の存在になるよいチャンスだ。後世に語り継がれる英雄となるのも夢ではない。さて、五人の貴族がてはずを決める声に耳を傾けると…どうやら、方法は3つばかりあるようだ。

・北へ向かい、軍隊を呼び戻す。
・東へ行って、侵略者の正体を見極める。
・カラメールに残り、街の守りを固める。

 よし、まずはキャロリーナから仰せつかったとおり、街の守りを固めることにしよう。
 それには、まずカラメールの街の構造を知らなくてはならない。ふと城壁を見る……。頑丈な城壁は門をくぐったとき、あれほどしっかりしているように思えたのに、どういうわけか、内側から見るとそれほど安全そうには見えなかった。おびえた街の人々は城壁の陰にそっと身をちぢめ、窓から見ても人々の恐怖が感じ取れるようだ。振り返ると、部屋の向かいの装飾をほどこした鏡にうつる、自分の影と顔を突き合わせていた。鏡の中の自分の姿をじっと見つめ、その背後にある暗くなりかけた窓に目を留める。不意に、うすぼんやりとした赤い輝きだけを残して、周囲が真っ暗になった。窓を引っかく音がするが、鏡から目を離すことができない。やがてぞっとするほど醜悪な、血の気の失せた男が、開いた窓をよじ登ってきた。男がよろよろとこちらに向かって進むうちに、更にたくさんのねじれた指が窓敷居に爪をかけてくる。「ひえ〜っ!」
……窓から差し込む日光に目をくらませる。階下の市場のざわめきが聞こえてくる。まだ、あの身の毛のよだつ光景が忘れられず、汗をびっしょりかき、震えを止めることができない。あれは何かの予兆だろうか、それとも、単なる想像の産物か……。
「おい、<批判屋>!」
 黙想は、仲間の冒険者の一人、ベドラーによって遮られた。
「キャロリーナ男爵夫人の拝謁の間へいくぞ。これからどうするか決めたか?」
 ここに残り、街の防備を固めるつもりだったが、何だか嫌な予感がする。あの光景は「考えを改めろ」という合図かも知れない。よし、考えを変えよう。東へ行って侵略者の正体を突き止めてやる!
「キャロリーナ男爵夫人、私<批判屋>は東へ行って侵入者の正体を突き止めてきます。我が故国“ジパング”に『彼(敵)を知り、己を知れば百戦危うからず』という諺があります。まずは、敵の正体を知るのが先決かと思います。」
 キャロリーナは首を縦に振った。
「よいでしょう、<批判屋>殿。但し、……出発の前に、食事はいかがでしょう。私もジパングの諺を知っていますよ。確か『腹が減っては戦が出来ぬ』と。」
「よくご存知ですね…仰せの通りにございます。」
「私も一国の皇族。他国のことも学んでいるつもりです。食事をしながら、最後の確認をしましょう。」
 五人の貴族とテーブルを囲み、栄養豊かなおいしい食事をとる。…うまい、こんなごちそうは久しぶりだ。マッドヘリオスは軽はずみな行動は慎むように忠告する。
「<批判屋>君、一番大事なのは、君が無事に戻ってきて、敵の正体を報告してくれることなのだ。そうすれば、どうやって街を守ればよいかわかるからな。」
 ダンヤザードからは、フォーガ寺院で休むといいという助言を受けた。フォーガ…どこかで聞いたことがある。あっ、カーレの北門を開けるときの呪文の一行に出てきた!確か『クーガの慈悲とフォーガの誇り』だったっけ?
 そんなことを考えていると、何かが軽く脚に触れた。振り返ると、世話をしてくれた小姓のジャナス――キャロリーナの計らいで給仕をしてくれた――が去っていくところだった。膝の上に、一枚の紙切れが置いてある。ジャナスが給仕の際に置いて行ったに違いない。この紙切れは後で確かめるとしよう。紙切れをポケットにしまった。
「ずっと道路に沿って突き進んだ方がいいわ。その方が、遠回りになっても田野を横切って行くよりも結局は早いのよ。ほら、ジパングの諺にもあるでしょう、『急がば回れ』って。」
 なぜこの人たちは、こうもジパングの諺をよく知っているのだろう。まあいい。
 やがて、食事も終わり、テーブルを離れて一人になったので、先ほどの紙切れを開いてみた。
 気をつけろ――おまえはたくさんの目に見張られている
 確かに、それはその通りだ。特に、目下の存在から…。
 さあ、いよいよ出発だ。まっすぐ馬小屋に行き、馬を選ぶ。出発の準備をしていると、背の高い女性が近寄ってきた。沈黙のシージュだった。なぜ彼女がそう呼ばれているかはすぐに分かった。何しろ、シージュの声はか細くてほとんど聞こえないのだから。

「<批判屋>殿…」

「はい。…これはシージュ様。」(注意:実生活の私ALADDINは、小さな声に対して大きな声で返事をすることがよくあります…)

「そんな大きな声を出さなくても聞こえますよ。…旅の間、あなたを助け、幸運をもたらしてくれる魔法のお守りがあります。」

 そう言って、シージュは珍しい薬草の入ったにおい玉(ポマンダー)を取り出した。

「このにおい玉を首にかけておけば眠気を覚ます働きもあるのです。」

 シージュの召使いはにおい玉を手渡してくれた。
「ありがとうございます、シージュ様。」

「ううぅ…もう少し静かにしゃべってもらえませんか。道中の安全と任務の成功を祈ります。」

「ありがとうございます。」

「ううぅ…もうよい……」

 シージュのにおい玉を入手した。

 荷物をまとめると、急ぎ足でにぎやかな城の中庭に入っていった。選び抜いた駿馬にまたがり、門へと向かう。火打ち石街道を抜ければ、カラメールの正門はすぐそこだ。
 いよいよ任務の開始である。

〔STATUS(現在の値/原点)
 ※ 変化があったものは太い赤字
 技術点 … 10/10
 体力点 … 18/18
 運点 … 10/10
 時間表 … 0
 特筆点 … なし
 金貨 … 5
 食料 … 5
 所持品 … ファングセイン鋼の剣(戦闘の際6ゾロが出れば致命傷)、シージュのにおい玉
 (Save Number:140→329)

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2013/05/13


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