死神の首飾り(プレイ日記)
【初期設定と背景】
私の名はALADDIN(アラジン)。祖国ジパングでは『批判屋』としても知られる。今回は、オーブという異世界を救うために“死神の首飾り”という私から見たら何の価値もないような“物体”を現世界の地球に持ち帰るという任務を仰せつかった。私にとっては何の利点もない任務だが、無償で誰か(何か)を救うことができるのは人間だけなので、
仕方なく
オーブとやらへ旅立つことにする。さて、各能力値の設定及び飲み薬の選択に入りたい。
技術点 … サイコロを振って出た目は6。従って、
原技術点
は12。
体力点 … サイコロ2個を振って出た目は2と5で7。従って、
原体力点
は19。
運点 … サイコロを振って出た目は5。従って、
原運点
は11。
飲み薬 … 原点数が増えるのはうれしいので、
ツキ薬
を選択(
原運点
に
1
を加えた数まで
運点
を回復させる)。
やはり技術点が高いのはありがたい。FFシリーズたるもの、戦闘は避けがたい。そんなとき、技術点が生死を分かつことになる。体力点は平均レベルで、運点はかなり高い。これなら異世界の神と戦うことになってもすぐに負けるということはないだろう。それに、この冒険には2箇所も復活地点があると聞くしな。無論、復活地点に頼らないのが良いのだが……。この冒険においては、どんどん時間が失われていくらしいが、FF27巻『スターストライダー』やFF32巻『奈落の帝王』のような時間関連のチェック項目はないので、飽くまでも心理的な時間の概念であろう。即ち、時間切れでゲームオーバーということはない。だから、それほど時間においては気にする必要はなさそうだ。それでは〔背景〕に進むことにしよう。
〔背景〕
君は意識をとりもどしはじめた。陽気に歌う鳴き鳥の声で、君は目をしばたたかせながら見開く。雲間にそびえる巨大な白い城のやぐらの上で、緑のビロードばりの長いすに、君は横たわっている。立ちあがってあたりをみまわす。つややかで豊かな金色の羽を持った鳴き鳥が、太陽がないのにまるで大海原の色を思わせるような青空にその羽を輝かせながら、胸壁に止まっている。
君はみなれない異国風の服を身につけている。ズボンは濃い緑色だし、上着はひだが何重にもつけられた革でできている。靴はあずき色の子牛の革製で、柔らかく君の足にぴったりだ。ズボンのすそが、ふくらはぎのところでその靴におさめられている。腰のベルトに重たい剣がつりさげられている。そして驚いたことに、君にはその恐るべき力を秘めた剣の使い方がなんとなくわかっているのだ。鳴き鳥の歌う声に、君は地球のことを思い出そうとこころみるが、うまくいかない。すべてがボンヤリしてはるか遠いもののように思えるのだ。君はいつの間にか君の住む地球からつれ去られ、剣の扱い方をほどこされていたのだ。いったいだれが、どのような理由で君に訓練をほどこしたのかさっぱり思い出せないのだが、剣の柄は君の手にぴったりとなじんでいる。剣を抜いて、二、三度ふりまわした君は、目にもとまらぬ剣さばきに驚いてしまう。
だが、鳴き鳥はそんな君の剣士ぶりにもまったく驚いていないようだ。むしろ、鳥が首をしゃんと立てて、ころがすような澄んだ声で話しかけるのに、君のほうが面食らってしまう。
「ようこそ、運命の戦士よ。おやおや、狼狽めさるな。あなたはまだ危険な目にあっているのではないのですから」
「わたしはどこにいるのだ?」
君は夢のなかにいるように感じながら、たずねる。
「残念ながら、あなたの住んでいた世界から、はるか遠くはなれたところ。ここはオーブの世界。そしてあなたはいまは神がみの園にいるのです」
「オーブって、いったい何なのだ」
君は強い命令口調で聞く。
「地球とはまったくちがって、ここにはみなれないもの、不思議なものがいっぱいあることに、あなたは気がつくでしょう。ここでは、人間がちょうどいまのわたしと同じように、動物たちと話すことができます。しかし、同時に、この世界には残虐で凶暴な怪獣や巨人、ドラゴンや悪魔たちもいます。呪術師や魔法使いもいるのです。町には大魔術をおこなう者もいます。でも、恐れることはありません。あなたはわれわれの戦士としてえらばれたのです。あなたのほかに地上界にこの使命をはたせそうな人間はいなかったのです。さて、わたしは役目をはたさなければなりません。こちらへついて来なさい。わたしの主人たちがこの下の部屋であなたの来訪を心から待ちのぞんでおられる」
それだけ言い残して、金色の鳴き鳥はらせん階段のほうへとんでいってしまう。なにがおきたのか君は首をひねりながら、石の階段をおり、大きな円形の部屋へむかう。二人の人物が君を出むかえる。
「よくぞいらした」
と一人が言う。さまざまな色がうずまくように織り込まれたローブを身につけた女性のような姿をしているが、そのローブの首もとから出ているのはのっぺらぼうで髪もまったくない頭だ。彼女が君のほうへ歩むにつれて、ローブの色彩は千変万化し、君の心は完全にとりこにされてしまう。彼女の顔をのぞきこむと、そこには君自身のイメージが浮かびあがっている。大寺院のなかで戦っている君の姿がある。そしてイメージは、壁にかこまれた町を去っていく君、荒れはてた沼地を一人で急いでいる君、密林のなかで青い皮膚を持った悪魔にかこまれている君へと変化していく。彼女がみせているのは君の運命の一部だと知って、君は首すじがぞくっとする。イメージが消え去ってはじめて、君は彼女の青ざめた顔に眼がないのに気づくのだった。
もう一人の人物もみるたびに表情を変化させる。いっしゅん、年老いた白髪の知恵者のようにみえたかと思うと、次のしゅんかんには年齢にそぐわない知恵を身につけた子供のようにみえる。子供から老人の変身ぶりが、あまりにもなめらかなので、その変化のあとをたどれないほどだ。彼の声はソフトで年齢を感じさせない。
「われわれがあなたをこのオーブの世界によんだのは、この世界のバランスを転覆させようというこころみを、あなたにふせいでもらいたいと考えたからじゃ。遠いところでこの世界のバランスがくずされようとしておる。あなたがそのバランスを回復する役目をになうのです。それはこの神がみの園に住むわれわれではできないこと。われわれはオーブに混乱をまねく敵と戦うことができないのじゃ。だから、人間たちをわれわれの道具として使うことにした。もちろんあなたがその使命に成功するかどうかはわからないのだが」
君が立っている部屋の床は、きわめて精密で現実のものに近い地図になっている。この世界中に散らばっている畑をたがやす農夫の姿、あるいは町の道を歩いている人のかたちがみえるほどだ。この世界には、尖塔を持った城が立ちならんでいる。馬上にまたがる騎士と、風に旗をなびかせながらその騎士に従う兵士たちがいる。そして、殺し屋や盗賊たちがかくれる塔や、とんがり屋根がいっぱいある高い壁にかこまれた奇妙な町を、素晴らしい景色のなかにみつけることができる。眼のない神が君のほうに近づく。そのローブはいま、深海の群青色に変わっている。そして君の唇にそっとふれるのだった。
「さあ、あなたをオーブの世界の地上におろすことにしよう。もしも、あなたが死神の手に落ちてしまったら、われわれとしては助ける術がない。どうか、われわれをがっかりさせないように!」
「だれの手に落ちる、だって?」
たずねようとしたそのしゅんかん、君は地図の上に黒く口を開けた魔窟に情け容赦なくつき落とされてしまう。君は自分の運命がもてあそばれたことに怒りをおぼえるが、どんなことをしても君の故郷、地球にもどようと決意するのだった。オーブの世界がどんどん近づいてきて、否も応もなく君をまきこんでいく。君は意識を失う。
さあ、ページをめくりたまえ
2024/09/20
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