フィンブルヴェトル物語(プレイ日記)



【第1回】長老の苦悩

 エルの村に着いた。取り敢えず、話だけでも聞こう。私自身いきなり怪我をしたエルが眼前に現れて、正直、勝手がわからない。
 それにしても、この子……。



 展開が無理矢理過ぎる。エルフとはこんなに強引な種族なのか?
「長老様…。」
 この人が長老か。隣に座っているのは、奥さんか? それにしても、随分若い奥さんだな……。





 討伐隊? 随分物騒な言葉を使うものだ。
「そうか…」
 長老が沈痛な面持ちをする。長老が一瞬こちらの方を向いた。そして、再びエルに視線を戻す。
「して、そちらの御仁は?」
「この人は、私の命の恩人なんです。私がエルフの森まで逃げてきたとき、偶然この人に会ったんです。そして、襲われて殺されそうになったところを助けてもらったんです。」
 まあ、恩人というは少し大げさだが、言われて悪い気はしない。
「私はアレク。バイエルン王国の騎士を勤めています。」
「アレク殿、まずはエルを助けてもらってありがとうございます。して、なぜアレク殿はエルフの森に?」
「マルクス教徒を追いかけていたら、たまたま森に入ったのです。そこで彼女に会い、やつらに遭遇しました。」
 そうだったのか。エルが殺されそうになった相手が私が追いかけている相手だったとは……って、マルクス教徒を追いかけているなんて、今初めて知ったぞ。
「アレク、マルクス教徒ってどんな人たちなの?」
 どんな人たちって、わけもわからないのに殺されそうになったんかい!
 まあ、簡単に言うと、テロリストだな。ヤツらの教義は、私有財産を禁じて階級社会を否定すること。ただ、これは表向きで、ヤツらを目指しているのは、国全体を赤化(共産主義化)し、自分たちに都合よく統治すること。ヤツらの中に階級があること自体、己の教義に大きく矛盾しているからな。まともな人間に相手にされないからか、国民をむりやり拉致して洗脳、挙句の果てには武器を揃えてテロを繰り返す連中だ。キ●ガイという言葉では到底片づけられん。実に気持ち悪くて不愉快極まりない連中さ。そういえば、ジパングでも、そんな宗教団体があったな。その宗教団体の首謀者は昨年(2018年)死刑執行されたが、実は元幹部がまだ一人生き残っている。こいつこそが最も油断ならない輩だ。
 そうそう、エルの言っていた「討伐隊」とは一体……。
「長老、こちらからも質問があります。先程エルの言葉に出てきた『討伐隊』とは何でしょうか?」
 長老は一瞬返答に詰まる。
「この話をエルフ族でないものにしてよいものか……」
 まあ、話したくないことは話さなくてもいいだろう。世の中には知らないことがいいこともあるからな。だが、ここで初めて長老の奥さんと思しき方が口を開いた。
「長老、マルクス教徒が関わっている以上、私達だけの手には負えないのではありませんか? それに、もしアレク殿がいらっしゃらなければエルは生きて帰っては来られなかったでしょう。もし、またエルを危険な目に遭わせるような真似をするならば、私は断固として反対ですよ。」
「わかった。そなたがそこまで言うのなら……。ではアレク殿、聞いてくださらぬか。」



 エルフオーブ? 何だかようわからんが、エルフ族にとって重要なものであることは間違いないだろう。
「我々が魔力探知を行ったところ、どうやら遺跡の奥からオーブの反応があるとのことで、エルたち討伐隊を結成し、遺跡に向かわせたのじゃよ。」
 要は、マルクス教徒の連中がそのエルフオーブとやらを国家転覆のために使おうとしているってことだな。この件のことを、城に戻って伯爵に相談する必要がある。
「長老、一つお願いがあります。」
「何じゃな?」
「マルクス教徒の行動を常に見張っていてもらえませんか。遺跡から、さらに別の場所へ逃亡するかもしれません。」
「うむ。承知した。」
「それでは、私はこれで……」

と、ここで、エルが口を開く。









 何か、話が飛び過ぎている気が…って、エル、今何て言った? 奥様? やはり、この人は長老の奥さんだったのか。
「奥様には若返りの魔法がかかっているのよ。それに、私達エルフ族は、人間の10倍は生きるんだから、いちいち驚くことじゃないわ。」
「…………。」
「では、アレク殿、エルフオーブを、そして、孫娘をよろしく頼む。」
 エルは、長老夫妻の本当の孫ではないが、本当の孫同然、いやそれ以上の愛情をもってエルに接してきたのだろう。それはそれとして……。



 この子……かなり強引……。
 こうして私アレクは、エルフの少女エルと一緒にバイエルンのお城へ赴くことになった。





【第2回】へ→


2019/06/05


直前のページに戻る

『フィンブルヴェトル物語』のトップに戻る

電源系ゲームプレイ録のトップに戻る

トップに戻る


(C)批判屋 管理人の許可なく本ホームページの内容を転載及び複写することを禁じます。