ベテラン教師のたわごと 〜「お前みたいな生徒は初めてだ」〜


 これを読んでくださっているあなたは、かつて“ベテランの先生”という立場の人から「お前みたいな生徒は初めてだ」と言われたことはないだろうか。しかも、その言葉を発するのは“ベテラン”の先生で、ほんのちょっとした理由に託けて言われた言葉ではないだろうか。あるいは、これを読んでいるあなたは、“ベテランの先生”と呼ばれる立場の人で、ほんのちょっとした理由に託けて「お前みたいな生徒は初めてだ」と言ったことがあるのかもしれない。
 私に言わせれば「お前みたいな生徒は初めてだ」という言葉は“ベテラン教師”のたわごとである。「お前みたいな生徒は初めてだ」という言葉は、特に私立学校の教員が多く発するようで、「自分の言うことを素直に聞かない生徒は相手にしない」と公言しているに等しい。この言葉は、何年・何十年も教員生活を送っていながら、自分の扱いやすい生徒としか接して来なかった視野の狭い教師の戯れ言としか表現のしようがない。
 以前も述べたが、同じ生徒は二度と現れない。事実、教師にとっては新しく出会う生徒は皆「初めての生徒」である。「お前みたいな生徒は初めてだ」と言う“ベテラン教師”は、まずこれがわかっていない。新任の頃からわかっていなかったか、あるいは忘れてしまったか。いずれにせよ、愚かであることは間違いない。新任の教師ならば全てが初めてであるから、このようなたわごとを言うことはまずない。だが、何年か経験を積み、ある程度ベテランと呼ばれるようになると、こういったたわごとを言う教師が出てくる。今これを書いている私も「お前みたいな生徒は初めてだ」と言うことのないように、常に新鮮な気持ちを持ち続けなければと思う今日この頃である。

2011/06/09


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