絶対評価の履き違い(前篇)


 現在、中学校での各学期の評価は「絶対評価」になってきています。
 「絶対評価」とは、順位を上からつけずに飽くまでも当人の評価点で成績をつける評価方法のことです。昔の中学校の評価は「相対評価」と言いました。この評価方法は、絶対評価とは反対で、上から順に割合ごとに評価を定めていた評価方法です。

[相対評価表]
評価 割合 総評
5 7% 特に優れている(最高評価)
4 24% 優れている(高い評価)
3 38% 目標にほぼ到達している(標準評価)
2 24% 努力して欲しい(低い評価)
1 7% 大いに努力して欲しい(最低評価)

 この割合は厳守せねばならず、各学校や担当教員の都合で変えることはできませんでした。つまり、100人中7人は必ず5ですが、同時に100人中7人は必ず1をつけなくてはならなかったのです。上から順位をつけていくため、早い話が「他人の評価が上がる=自分の評価が下がる」となり、それならばと「自分の評価を上げる=他人の評価を下げる」という短絡的な図式を思い浮かべる生徒が増えました。そして、その結果「お前の成績がいいから俺の成績が悪くなるんだ」という不届きな輩が出始め、極端な話「成績優秀者の味噌汁に毒を盛る」ような事件が多発しました。
 また、相対評価は担当教員の悩みになることも多く、たとえ5の評価をつけるのにふさわしい生徒が100人中8人いる場合でもそれが許されず、いかなる難癖をつけてでも1人を4に降格させざるを得ないという理不尽な状況に追い込まれるということも少なくなかったのです。
 そこで、各学校の間から「100人中5の評価が8人いるんだったら8人とも5でいいじゃないか」という「絶対評価」の考え方が出てき始めました。こうして、公立中学校の中にも「絶対評価」が広まったというわけです。

 「絶対評価」の本来の目的は、学校の教員による生徒一人一人の正当な評価をするためです。


 このことを踏まえた上で後篇にお進みください。

2008/02/29


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