エクセア～４つの謎解き(解答篇)～

エクセア～４つの謎解き(解答篇)～

　『エクセア』の謎解きの答えです。

①　エクセアの神殿に入る方法(352番)

　「十五軒の家がある村があります。一軒の家族が一日暮らすのにナジャの実が四個要るとすれば、村人全員が四日暮らすのには、ナジャの実が何個要りますか？」

　普通に考えると、一軒の一日分は１軒×１日×４＝４個ですから、十五軒の四日分は１５軒×４日×４＝２４０個となりますが、この答えでは即座に殺されてしまいます。
　この問題は、出題者である光の女神マイスが８進法を使うという情報(163番、111番)がないと解けません。

<答え>　320個
　まず、マイスが普段用いる８進法について述べることにします。
　私たちが日常で使っている数は十進法です。これは、０，１，２，３，４，５，６，７，８，９の十種類の数字をもとに数の大きさを表しています。これに対し、８進法は文字通り８種類の数字を使って数を表す方法です。０，１，２，３，４，５，６，７と続き、７の次は「１０」となります。
　しかし、普段から十進法を用いる私たちがいきなり８進法で考えるのは大変です。四則計算(＋－×÷)も十進法と８進法ではまるで違います。そこで、マイスの問い(８進法)を十進法で解釈して計算し、その答えを８進法でマイスに返す、つまり、８進法⇒十進法⇒８進法という“数の翻訳”をしてみることにしましょう。
　まず、マイスの問いを十進法で考えてみることにします。
　１５(８進法)　⇒　１３(十進法)
　　４(８進法)　⇒　　４(十進法)
　従って、マイスの問いかけを十進法に直すと以下のようになります。
　「十三軒の家がある村があります。一軒の家族が一日暮らすのにナジャの実が四個要るとすれば、村人全員が四日暮らすのには、ナジャの実が何個要りますか？」
　　これで、普通に(十進法で)計算することができます。一軒の一日分は１軒×１日×４＝４個ですから、十三軒の四日分は１３軒×４日×４＝２０８個です。マイスの問いかけを十進法で答えると２０８個です。あとは、これを８進法に直すだけです。
　十進法から８進法に直すには、次のように考えます。
　十進法では、１０個集まるごとに位があがります。１０×１０＝１００、１０×１０×１０＝１０００、…という具合です。、例えば、２０８を１０で割り続けていくと、
　２０８÷１０＝２０あまり８　⇒　１の位は８
　　２０÷１０＝　２あまり０　⇒　１０の位は０
　　　２÷１０＝　０あまり２　⇒　１００の位は２
つまり、２０８は「１００が２個、１０が０個、１が８個」集まった数と言えます。
　これを８進法で考えてみましょう。すると、こうなります。
　２０８÷８＝２６あまり０　⇒　１の位は０
　　２６÷８＝　３あまり２　⇒　８の位は２
　　　３÷８＝　０あまり３　⇒　６４(＝８×８)の位は３
つまり、２０８は「６４が３個、８が２個、１が０個」集まった数と言えます。
　従って、正解は３２０個です。

②　アリアドネの謎解き(350番)

　「ラドゥサとラドゥサをたしたらアリアドネになるとするわ。そのとき、サリアはいくつ？ただし、サリアは一番小さいのよ」
　ラドゥサ、アリアドネ、サリアはそれぞれ四桁、五桁、三桁の数字だ。同じ文字には、同じ数字がひとつずつ入る。そしていずれも、いちばん高い位は０ではない。
<答え>　261
　これは、覆面算と呼ばれる有名なパズル問題です。サリアの数字は何通りかのパターンがありますので、その中で一番小さい場合を答えます。
　まず、繰り上がりの性質から考えると、ア＝１であることがわかります。なぜなら、四桁の最大の数である9999を2回足しても19998にしかならないからです。ここまでで、ラドゥサ＋ラドゥサ＝1リ1ドネが確定します。ここで、百の位に注目しますと、1という奇数になっています。しかし、ド＋ドは偶数のはずです(同じ数を2回たしているので)。ということは、ド＋ド＝0または10であり、それに十の位で繰り上がった数が加わって1になっていると考えられます。
　ここで、ド＋ドの場合分けをしてみましょう。
　(1)　ド＋ド＝0、つまりド＝0の場合
　　　十の位のゥ＋ゥ＝0または10ですが、0は既にドと決まっていますから、ゥ＋ゥ＝10、つまりゥ＝5となります。
　　　ところで、サリアをなるべく小さくするには百の位のサをなるべく小さくすればよいのですが、1は既にアと決まっていますから、サ＝2です。
　　　すると、サ(2)＋サ(2)＝ネ(4)となり、ネ＝4となります。
　　　残るはリですが、今は百の位から千の位への繰り上がりはないため、ラ＋ラは偶数です。0はド、2はサ、4はネと決まっていますから、リ＝6です。
　　　これより、ラ＝8となります。
　　　以上のことより、ド＝0の場合のサリア＝261です。ちなみに、この覆面算は8052＋8052＝16104です。
　(2)　ド＋ド＝10、つまりド＝5の場合
　　　十の位のゥ＋ゥは偶数になりますから、ド＝5ということは、一の位で繰り上がりがあったということです。
　　　つまり、サ＋サは繰り上がらなくてはならず、サは5以上になります(尤も、5はドですからサは6以上になりますが)。
　　　そうすると、サリアは500以上となり、これは(1)の261を上回ることを意味します。
　(1)(2)から、一番小さいサリアは261です。

③　山紫水明の鏡(578番)

　『かの神山、夢なる狐たちの多く住まいけり。頭領たるは白色九尾の神狐、これはただ一匹のみにて他の狐どもを従える。続くは八尾の狐、これは二匹にて動と静を司るものなり。七尾の狐は五匹、うち四匹は東西南北の結界を守り、残る一匹がそれを統一する。六尾の狐は十三匹、五尾の狐は三十四匹なれば、三尾の狐の数はいかばかりなりや。山を駆ける狐ども、その総数は二千五百八十四匹を数えるものとする』

<答え>　233匹
　これは、いけにえの森(42番)に出てきた「ごく単純な規則性を持つ計算式」がヒントになっています。その規則性とは、はじめの数を1として、次の計算式はそれまでの和(全部の合計)を順にたしていく、というものです。但し、直前の和は2回たします。言葉で説明するとわかりにくいので、実際に計算式で規則を追ってみましょう。
　九尾…1匹
　八尾…2匹(＝1＋1)
　七尾…5匹(＝1＋2＋2)
　六尾…13匹(＝1＋2＋5＋5)
　五尾…34匹(＝1＋2＋5＋13＋13)
　四尾…89匹(＝1＋2＋5＋13＋34＋34)
　三尾…233匹(＝1＋2＋5＋13＋34＋89＋89)
　二尾…610匹(＝1＋2＋5＋13＋34＋89＋233＋233)
　一尾…1597匹(＝1＋2＋5＋13＋34＋89＋233＋610＋610)
そして、合計は2584匹(＝1＋2＋5＋13＋34＋89＋233＋610＋1597)となるわけです。
　従って、三尾の狐の数は233匹です。
(参考)
　この計算式はフィボナッチ数列と呼ばれる数列(ある一定の規則を持った数の並び)を基に作られています。フィボナッチ数列は初めの数と2番目の数が決められており、3番目以降の数は「直前とその前の2つの数の和」で求められます。例えば、初めを0とし、2番目を1とすると、3番目は1番目(0)と2番目(1)の合計で1、4番目は2番目(1)と3番目(1)の合計で2、以下5番目は3(＝1＋2)、6番目は5(＝2＋3)となります。
　フィボナッチ数列は「うさぎ算」という名前でも知られており、一組の兎の夫婦からスタートすると一定期間で兎は全部で何匹になるかを単純計算で考えた数列です。

④　九曜の曲玉(233番)

　『狐ども、ときおり人界へ舞い降りて遊びゆくことあり。人界の自然、獣たちの神降りきたるを光栄となして礼として紅玉を降らせ、狐ども喜びて拾いゆく。
　狐ども、山へ帰りきたりて、紅玉を数えみれば、九本尻尾と八本尻尾、七本尻尾のかしら合わせて四匹の紅玉、以下のとおりなり。

月読の紅玉、天城の尻尾の数より一引きし数を七倍したものなり。

霧葉の尻尾、彩牙のものより多かりけり。

天城の尻尾の数、彩牙の紅玉の半分より三引きし数なり。

霧葉の紅玉、月読の尻尾と彩牙の尻尾の数の数を足し、三掛けた数と合うものなり。

天城の紅玉、その尻尾の数に九を掛け、それを二分した数になるとや。

彩牙の尻尾の数、天城の紅玉の数から一を引き、さらに五で割りし数なり。

四匹の紅玉、すべて合わせて百五十二個を数えるものなり。

　さて、その持てる紅玉、もっとも多かりし狐、その尻尾の数いかばかりなるや。その紅玉と尻尾、たがいに掛け合わせたる数を述べよ』

　問題文は、古典風な書き方で、やや分かりにくいところもあると思いますので、以下のように現代語に直しておきます。

　尻尾が九本の狐が一匹(以下「九」)、八本の狐が二匹(以下「八ａ」「八ｂ」)、七本の狐が一匹(以下「七」)、合計四匹の狐がいて、それぞれ月読(以下「月」)、霧葉(以下「霧」)、彩牙(以下「彩」)、天城(以下「天」)の、四種類の紅玉を持ち帰りました。但し、誰がどの紅玉かは分かりません。また、それぞれの狐の持つ紅玉の種類は一種類とします(例えば、「月」の紅玉を「九」と「八ａ」が半分ずつ持っているということはありません)。
　①　「月」の紅玉の数＝（「天」の狐の本数－１）×７
　②　「霧」の狐の本数＞「彩」の狐の本数
　③　「天」の狐の本数＝「彩」の紅玉の数÷２－３
　④　「霧」の紅玉の数＝(「月」の狐の本数＋「彩」の狐の本数）×３
　⑤　「天」の紅玉の数＝「天」の狐の本数×９÷２
　⑥　「彩」の狐の本数＝（「天」の紅玉の数－１）÷５
　⑦　四種類の紅玉の数は全部で１５２個
　では、問題です。持ち帰った紅玉が最も多かった狐は誰でしょうか。その紅玉の数×該当する狐の尻尾の本数を答えなさい。

　これは、条件整理の問題です。紅玉が１．５個などというのはありえないことを念頭においておきましょう。
<答え>　392
　分からないところはひとまず飛ばし、分かるところから手をつけていきます。
　⑤より、「天」の狐が奇数本では、「天」の紅玉の数が３１．５個または４０．５個となり、紅玉の数としてありえなくなってしまいます。従って、「天」の狐は八本です。従って、「天」の紅玉の数は８×９÷２＝３６(個)です。
　これにより、次々と明らかになります。
　①より、「月」の紅玉＝(８－１)×７＝４９(個)になります。
　③より、８＝「彩」の紅玉の数÷２－３を逆算して考えると「彩」の紅玉が２２個であることがわかります。
　⑥より、「彩」の狐の本数＝（３６－１）÷５＝７で、「彩」の狐は七本であることが判明します。
　ここまでで「天」「月」「彩」の三種類の紅玉の数がわかりましたから、残る「霧」の紅玉の数もわかります。⑦より、３６(天)＋４９(月)＋２２(彩)＋「霧」＝１５２が成り立てばよいのですから、逆算すると「霧」の紅玉は４５個とわかります。
　あとは④より、４５＝（「月」の狐の本数＋７）×３を逆算すると、「月」の狐は八本であることがわかります。
　残るは「霧」の狐の本数ですが、「天」の狐は八本、「月」の狐は八本、「彩」の狐は七本ですから、「霧」の狐は残りの九本であることが分かります。
　以上をまとめると、「月」…八本で４９個、「霧」…九本で４５個、「彩」…七本で２個、そして「天」…八本で３６個となります。
　従って、持ち帰った紅玉が最も多かったのは月読の紅玉で４９個、持ち帰った狐の尻尾は八本(のうちのどちらか)ですから、４９×８＝３９２が答えるべき数ということです。

<補足>
　実は、この問題には抜け道とも言える手がかりがあります。それは、聖なる森で見つかる３つのレリーフです。
　７番で見つかるレリーフにはしっぽが７本の狐と石ころが２２個、２３番で見つかるレリーフにはしっぽが９本の狐と石ころが４５個、そして５４番で見つかるレリーフにはしっぽが８本の狐と石ころが４９個、それぞれあります。そして、233番の聖櫃に刻まれている文と照らし合わせると、石ころは紅玉を意味するだろうという予想がつきます。
　この問題は「持ち帰った紅玉の数が最も多かった狐には、しっぽが何本あったか」というのが答えるべき内容です。先の３つのレリーフを全て見つけていれば、この問題には簡単に答えられます。石ころ(紅玉)の最も多かった狐のしっぽは８本で、その紅玉の数は４９個、即ち４９×８＝３９２となるわけです。
　また、<考え方>において②の条件は使いませんでした。つまり、②の条件は作者の勇み足(または故意にこの問題を難しくさせる罠)ということです。

(おまけ１)　マイスの女神像に入れる宝石(388番)

　マイスの右目は物質を、左目は精神を見ると言われている。きみは右目に赤い宝石を入れるか(三五二へ進む)、それとも青い宝石を入れるか(三五三へ進む)？

<答え>　右目には赤い宝石を入れます。
　196番にあるレリーフには『紅を右の手に、蒼碧を左の手に捧げ』とあります。紅(くれない)＝赤、蒼碧＝青緑つまり青のことです。

(おまけ２)　パーシーとコーラルの持つべき正しい神器(605番)

　さて三種の神器を三人で分けなければならない。鸞凰飛翔剣はきみがいままでどおり持つにしても、山紫水明の鏡と九曜の曲玉はどちらに渡すべきだろう？

<答え>　山紫水明の鏡はコーラルに、九曜の曲玉はパーシーに、それぞれ渡します。
　これは、349番のパーシーの言葉と554番のエクセア王の言葉から分かります。349番において、パーシーは自分のことを「光の影」と言っています。そして、554番においてエクセア王の「闇の星の持つべき山紫水明の鏡と、光の影の持つべき九曜の曲玉」という言葉から、九曜の曲玉はパーシーであることが分かります。ちなみに「闇の星」がコーラルであることは言うまでもありません。

2010/07/13

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