ゲームブックとは


 『ゲームブック』と聞かれると、今の10代以下の方は「えっ何それ?」と思われるかと思います。まずは、ゲームブックについてお話することに致しましょう。
 『ゲームブック(Game Book)』とは、文字通り『ゲーム(Game)の本(Book)』です。
 「何じゃそりゃ〜、全然説明になっとらんじゃないか〜!」と思われるかも知れませんが、話は最後までお聞きくださいませ(笑)。
 この『ゲームブック』は、見かけは普通の小説とさほど変わりはありません。しかし、普通の小説ですと、最初から最後まで主人公の行動は全て著者の手に委ねられています。まあ当然と言えば当然です。『ゲームブック』は、そこを読者の判断によって決められるようにしました。普通の小説では「右の道は危険そうだから左にしよう」と、著者によって主人公の行く道は左に限定されるわけですが、読者の中には「オレだったら裏の裏をかいて右に行くぞ」とか「私は右にちょこっとだけ行ってみて本当に危なそうだったら左にしよう」とか思う人もいるわけです。そこで「右は危険そうに見える。左は平坦な道に見える。さあ、右へ行くか、左へ行くか。」と読者に選択を任せ、右へ行った場合と左に行った場合をそれぞれの読者が読み進むということです。
 これが、『ゲームブック』の雑な説明です。もっと詳しく知りたい方は、検索サイトで「ゲームブック」と打てば、ここよりも丁寧で詳しい説明に巡り会えると思います。
 日本初のゲームブックとなったのが、ゲームブックファンならば知らない人はいないとも言われている「火吹山の魔法使い」です。1983年、イギリスのゲーム作家であるスティーブ・ジャクソン、イアン・リビングストン両氏によってこの作品が作られ、日本には1984年末に、社会思想社(現在は倒産してしまいました)から翻訳書が発刊されました。『火吹山の魔法使い』のカバー折り返しには、

 物語でもありゲームでもある、ひと味違った本が出た―主人公は君だ! 

という見出しが付けられています。そう、主人公は読者である皆さん自身なのです。

*  *  *  *  *  *


 私が出会った初めての『ゲームブック』なるものは、学研(学習研究社)の「3年の科学」という購読月刊誌の付録についていたものでした。開始番号の1番から順に読み進めていって、選択肢が出てきたら自分の好きな方に進んで、それに従って話の展開が変わるという(現在では「チャート風」とも呼ばれているそうです)単純なものでしたが、それでも当時の私には十分楽しめる代物でした。  しかし、単なる項目選択だけでは、バリエーションがなく、誰が読み進めても結局は同じ結果になるという点で、次第に飽きを感じてきました(たまに読み返す分には面白いのですが)。
 そこで、「ある選択をするには何かのポイントを必要とする」という発想が生まれ、サイコロを振ったりトランプを引いたりして乱数を発生させるという、いい意味で複雑なシステムのあるゲームブックに手を伸ばして行きました。
 その当時、学研からは『シミュレーション・ゲームブックス』というシリーズで、一冊での総項目数が約200項目前後の『ゲームブック』が刊行されていました。これらは乱数発生装置としてトランプの数字や模様が使われています。
 また、社会思想社から出ている「ファイティング・ファンタジー」シリーズのゲームブックでは、主にサイコロ2個がメインとなっています。

 『ゲームブック』は、現在では『ゲームノベル』というジャンル名になっているようです(なぜ『ゲームブック』と呼ばないのだろう…)。

2005/05/06



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