最後の戦士


 トカゲ兵帝国軍が主人公の住む国ヴィモーナを包囲してから6年、これまではどうにか持ちこたえてきた。しかし、トカゲ兵帝国軍の攻撃はとどまることを知らない。更に悪いことに、ヴィモーナの人々は確実に食糧不足そしてそれ以上に睡眠不足に苛まれていた。
 ある夜、主人公は奇妙な夢を見た。
 邪悪に立ち向かう者の守護神であるテラク神が夢に出てきたのだ。テラクは主人公に1つの任務を与える。
 その任務とは、ヴィモーナの北東にある、デュルケラキンと呼ばれるテラク神の山へ赴き、トカゲ兵帝国軍に立ち向かう武器を見つけてくることだ。同時に、ラスカルという男を探すようテラクから命ぜられた。主人公はテラクにこう言われた――主人公こそが《最後の戦士(LastWarrior)》だと。
 翌朝、主人公は母ペリエル女王にこの夢を説明した。ライオンの心臓を持つと呼ばれた母もこのときばかりは動揺を隠せないでいたが、主人公の任務に同意した。主人公は、父アレキサンドロス�鏡い琉簓覆魴箸┐董▲妊絅襯吋薀�ンに向けて出発する。

 FFシリーズ31巻『最後の戦士(LastWarrior)』は、マーク・ガスコインの著書です。ガスコインは『タイタン』の編者でもあります。FFシリーズの世界であるタイタンをまとめ、今度は自らがFFシリーズに挑んだというわけです。流石は『タイタン』の編者、背景も各項目ごとに区切って説明しています。
 ルールも、ほぼ他のFFシリーズに準拠しています。普通の装備明細と父の遺品が分かれていますが、これらをまとめて装備一覧としても良いでしょう。ちなみに、父の遺品は3つのうちから2つを選択することになっていますが、どの2つを選択してもきちんとクリアできるようになっています。
 冒険の内容ですが、目的そのものは比較的はっきりしています。特に、最初は「ヴィモーナから無事に脱出する」という単純そのものです。しかし、6年もの間城の周りを包囲されて来たのですから、これを抜け出すのが容易でないことは想像がつくと思います。
 ヴィモーナを脱出した後は、ひたすらデュルケラキンを目指すわけですが、途中オークの集団や<ホワイト・アイ>などの魅力的なキャラが登場します。やがて、テラクの言っていた人物ラスカルについても明らかになってきます。このあたりで、テラクがラスカルを探せと言っていた本当の理由が分かると思います。単に、冒険の手助けになるからということだけではなく同時に「裏切者を始末しろ」という意味もあったのだと思います。
 私が個人的に「面白い集団」だと思ったのは、やはりオークですね。
 酒に酔っているのか、それともオーク弁なのかは分かりませんが、人間のことを“ヌンゲン”などと言ったり、あと392番の「死んだオークは、じつにひどい味がする!」など、オークからすれば真面目な慣習でも人間から見ると滑稽なものもあります。歯型をつけてもいずれ消えるような気がするのですが、死んだオークには新陳代謝がないから、つけた歯型も半永久的に残るということなのでしょうか。
 この冒険のセーブポイントとして、48番(デュルケラキンの洞窟に入る前)が挙げられます。“テラク神の腕”と呼ばれる長剣だけではその力を発揮せず、宝石を手に入れて初めて効果を現します。そして、その宝石はデュルケラキンの洞窟できちんと見つかります(運がよければ)。
 他の冒険のエンディングと比べると、この冒険のエンディング(400番)は多少尻切れトンボ気味ですが、「真の戦いはこれからである…」という終わり方はこれまでのFFシリーズにはなかったエンディングなので、こういう終わり方も新鮮味があるでしょう。それでも裏切者はきちんと滅びています。ただ、400番のページ割り振りが398、399と同じ見開きページなのが気になります。これはこの巻だけでなくて、他の何巻かにも当てはまりますが。

 この冒険は、『タイタン』の編者の作品だけあって、実にタイタンの世界に即した背景が広がっています。
 23巻『仮面の破壊者』以降の作品は『タイタン』の背景に即した作品という見方もあります。確かに23巻以降やたらとタイタン世界の地名が出て来ます。1巻『火吹山の魔法使い』が刊行された当時は単発オンリーだった火吹山も、実はアランシア大陸にある山だったという、言わば“後付け”が効いているわけです。FFシリーズの舞台であるタイタン世界が一冊の本にまとめられた後ならば、それに即した背景を設定した方が分かりやすいですし、またそうでなくては改めてタイタン世界をまとめ直さなくてはならないという難点もあったと思います。
 これは、連載マンガにもよくあるパターンです(最初から登場人物の全設定をせず、後になってから全貌が明らかになるというパターン)。

 『最後の戦士』は、独自の複雑なルールもなく、デュルケラキンに着くまでは特に「はずれの道」もないので、割合とスムーズに進める作品だと思います。そういった点では良い意味で単純であり、また目的の人物については良い意味で複雑でもあります。
 400番の後、トカゲ兵帝国軍そして悪の権化に勝ったかどうか…それは読者のご想像ということで…(多分勝つでしょう)。

2005/07/08


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