電脳破壊作戦
銀河系を支配する惑星、アルカディオン帝国のもと、もはや奴隷でしかない人類は、大胆で決死的な作戦を君にゆだねた。その作戦とは、アルカディア人の頭脳である“女王コンピューター”を破壊すること。秘密工作員である君は、地球とアルカディオンのあいだにある三つの惑星で手がかりをさがしだして、任務を完遂させること。
FF18巻は『電脳(コンピューター)破壊作戦』です。著者は、後に『仮面の破壊者』や『恐怖の幻影』で知られるようになるロビン・ウォーターフィールド氏で、訳者は酒井昭伸氏です。
現代(21世紀)ではコンピューターは割合と各家庭に普及されていますが、当時は企業単位でしかコンピューターが普及されていない時代でした。20世紀から見た21世紀以降のSF(空想科学)作品です。
本来、コンピューターを創ったのは人間ですが、その人間が逆にコンピューターに支配されるという冒険です。単調な作業ならば、コンピューターは人間よりも速くて正確に処理しますが、コンピューターは新たに物を考えることはできません。しかし、もし、それができたとしたら……頭脳の点では、創造主である人類よりもコンピューターが優ってしまいます。そうなったら、コンピューターが人類を支配してもおかしくはありません。
主人公は宇宙船で宇宙に旅立つのですが、当然ながらコンピューターに警戒されています。冒険開始の時点で早くも全人類の運命に関わる選択が迫られます。もし、選択を誤れば……全宇宙の人類がコンピューターに屈する結末を迎えてしまいます(これは怖い…)!
惑星の道中、味方が現れますが、ここでも駆け引きが物を言います。この駆け引きで失敗すると同志に捕らえられ、任務失敗という理不尽な終わり方をします。駆け引きは、この冒険をする上で必要な能力かもしれませんが、無意味に疑心暗鬼になるのもいただけません。
クライマックスには、コンピューターらしく二進法(0か1かだけで表す方法)が登場します。現代のコンピューターもこの二進法が元で作られています(つまりNo=0、Yes=1です)。必要な情報は直接的には全部は入手できません。ここで、推理が必要になってきます。
ロビン・ウォーターフィールドの作品の一つだけあって、かなり背景の描写などが細かいのですが、その分理不尽な場面も満載です。この作品は間違いなく上級者向けです。二進法も勉強してからプレイした方がいいと思います。
現代の日本には“電脳”という株式会社が実在します。自動車教習所で最初に行う“適性検査”を監修していることで有名です。“適性検査”には、心理学者の故多湖輝氏も関わっていたとか…。
2017/01/01
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