恐怖の神殿


 マルボルダスの邪悪な力は、今まさに絶頂に到達しようとしている。マルボルダスの育ての親である闇エルフたちは、マルボルダスに1つの試練を与えた。それは、失われた都ヴァトスで龍の飾りを見つけることだった。5つ見つけたとき、闇エルフらが龍の飾りを魔法で邪悪な龍にするということである。そうなったらもはやアランシアはマルボルダスの支配下におかれてしまうことになる!
 このことを、全くの偶然で魔法使いヤズトロモの使いのカラスが知った。この火急の知らせをストーンブリッジの王ジリブランに伝えるべく、滅多に自分の塔から出ないヤズトロモ自らがストーンブリッジに出向いた。
 ストーンブリッジに着いたヤズトロモは、早速ジリブランとストーンブリッジの村民に知らせた。方法はただ1つ、マルボルダスよりも先に龍の飾りを5つとも見つけてそれを破壊することだ。
 たまたまその場に居合わせた主人公が、その大役を買って出ることになった。
 ヤズトロモから4つの魔法の術を教わり、南の髑髏砂漠を抜けて失われた都ヴァトスにいざ赴く。

 FFシリーズ14巻『恐怖の神殿』はリビングストンの作品です。
 3巻『運命の森』以来11巻ぶりに魔術師ヤズトロモが登場します。主人公は、3巻と同様最初にヤズトロモからの支援を受けることになります。3巻では魔法の道具を購入しましたが、この冒険では呪文を4つ教わります。この呪文は「ソーサリー型」(体力点が許す限り何度でも使える)です。
 そして、今回リビングストン作品で初の「パラグラフ・ジャンプ」が登場します。「パラグラフ・ジャンプ」というのは、次の行き先の番号が直接には表示されていないが、ある特別なルートを通った人(あるいは謎の答えが分かった人)だけが知っている次の行き先の番号へ飛ぶことを言います。
 以下、パラグラフ・ジャンプの例を挙げてみます。

・ この先、もし「暗くて何も見えない」場合は、そのときの項目番号に50を加えた番号に進むこと。

 261:暗くて何も見えない。明かりをつけるなら123へ、このまま進むなら345へ進め。
  ⇒ 「暗くて何も見えない」ので261+50=311で311番へ進む。

・ 答えを知っていれば、その番号へ進む。

 「答えは金貨100枚」と既に知っている場合
  ⇒ 100へ進む。

 この冒険で実際に出てくるパラグラフ・ジャンプは、「質疑の間」(98番)ですね。
 この冒険を難しくしている最大の要素は、何と言っても死の使者の存在です。主人公の進路を常に先回りし、要所要所にDEATHという5文字を1文字ずつ配置します。運悪く1文字見るたびに、衝撃のあまりその都度体力点4を(場合によっては運点1も)失うことになります。そして、主人公が5文字全部を見てしまったら、死の使者の呪いが完全に主人公を蝕みます。こうなったら最期、主人公はじわじわと生命を抜かれていくのを待つしかありません!かと言って、文字を見まいとして要所要所を避けると、もちろん龍の飾りを見逃す可能性もあるわけです。何と言う邪魔者なんだ死の使者は!こいつに比べれば、ミニマイトのジャンがかわいく見えます。ですから、龍の首飾りのありそうなところを探し、尚且つDEATHの5文字のありそうなところを避けるようにする必要があります。これはもう勘と運任せでしょう。
 しかし、プレイしていて1つ矛盾点に感じたことがあります。
 マルボルダスは龍の飾りを5つとも見つけて来いと闇エルフ達に命じられたはずです。ということは、主人公は何も5つとも見つけずとも1つ見つけるだけでよいはずです。「5つとも見つけた」の否定は「1つでも見つけられなかった」です。推測するに、160番の意味は「リーシャの殿の再奥部に着いた時点で龍の飾りを5つとも揃えられなかったから残りの龍の飾りから邪悪な龍が誕生してしまった」ということだと思います。282番も「折角集めた龍の飾りをマルボルダスに奪われてしまったので160番と同じ結果になってしまった」ということでしょうが、これは最初から「マルボルダスは5つある龍の飾りのうち1つでも見つければ良かった」ということになります。どちらにせよ矛盾撞着が発生します。
 細かなことだとは思いますが、物語の辻褄が合っていないことに変わりはないので、敢えてこの点を述べました。
 ですが、砂漠を越えて失われた神秘の都へ行くという展開は良く、暑い砂漠から涼しい神殿という風景の変わり方も秀逸だと思います。

 ちなみに、私が最初にプレイしたときには、自分の乗っていた大鷲が翼手龍との空中戦で負けて、大鷲と共に墜落しました(泣)。

2005/06/06


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