さまよえる宇宙船
『さまよえる宇宙船』は、『バルサスの要塞』に続くスティーブ・ジャクソン氏の作品です。
宇宙船トラベラー号は、セルツィア空間と呼ばれるブラックホールに吸い込まれてしまいます。行き着いた先は、全くの未知なる宇宙空間です。トラベラー号の船長である主人公は、何としても地球に戻る手段を見つけなくてはなりません。果たして、行く先々にはどんな異星人や惑星が待ち受けているのでしょうか。そして、正しいブラックホールを見つけることができるのでしょうか…
このゲームブックは、これまでの3巻のものとは違い、能力値さえ決めればすぐにでも冒険を始めることが出来ます。戦闘方法とか、
運点
の使用方法(この冒険には
運だめし
は
一切
出てきません!)などは、その都度説明されます。そういう点では、割合と入りやすいゲームブックと言えます。
しかし、3種類ある戦闘方法が選択できるわけではなく、いきなり「船同士の戦闘」「肉弾戦」「フェーザー戦」で戦え、とあるのが少し不満です。343番のフェーザー砲での戦闘方法に「簡単に決着がついてしまうこの種の戦いはできるだけ避けたほうがいい。」とありますが、「
そういうことはフェーザー戦が始まる
前に
言えよ!
」というところです。
また、能力値の判定でところどころ
結果が逆
ではないかという部分も少なからずあります。誤植か誤訳か、あるいは作者のミスか
皮肉
なのか…。運を活用できる場面も少なく、またこの冒険では
運点
は最初から最後まで変化しません。
項目数も340(+3)と、従来のFFシリーズよりも若干少なめです。少ない項目数でこれだけのものが書けるのなら、標準的な400項目にすればもっと背景の描写や選択肢が充実したと思います。ですが、この作品はFFシリーズでも最初の方ですから、色々な試行錯誤の部分もあったと思います。製品が品種改良されていくのは、ゲームブックでも同じことなのかなあという気もします。
ところで、この『さまよえる宇宙船』をプレイしている最中、アニメ
21エモン
に出てくる効果音をBGMにするとより一層リアリティーが増すと思ったのは私だけでしょうか(笑)?
340番に到着したときのBGMとしては、「21エモン」の次回予告のBGMなどが似合っていると思います。そして、無事生還した暁には「
21世紀の恋人
((C)谷村有美 1991)」をBGMにすると最高です。しかしこの作品は1985年のものですから、時系列的に狂ってしまうことも確かなのですが(笑)。
余談ですが、私は何気に谷村有美氏の曲をかなり歌えたりします(キーやオクターブもそのままで)。宛ら「隠れキリシタン」を思わせます。中でも「21世紀の恋人」は、私のベストソングに入っていたりします。21世紀はもう迎えてしまいましたが、この曲くらいの信念は持ち続けていきたいなあと思っています。
ところで、これまた余談ですが、ブラックホールの彼方に消えた物は
ホワイトホール
から出てくるそうです(ザ・ドラえもんズスペシャル 養成学校編より)。…確かにそうかも(←妙に納得してしまう私…)。
2005/05/24
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