昔と今を比較するなかれ


 何か事件が起こると、決まって「今の若者は〜のところが悪い。昔の若者は…のところが良かった。」という戯言をほざく輩がいる。私は、こういう輩を見る度に嫌悪感が増す。
 「今」というのは「昔」が引き起こした結果である。つまり、今が悪いのは、昔が悪いからに他ならないのである。それを無視して、表面的な結果だけを取り上げて「今」だけを非難するのは、愚の骨頂と言わざるを得ない。
 エジプトの象形文字で有名な言葉として「近頃の若い者は…」というものがある。この言葉こそが、四大文明時代から繰り返して来た愚かなサイクルの証なのだが、「今」だけを悪く言う輩はこの愚かなサイクルに気づいているのだろうか。
 「今」の生徒や学生が最も嫌う言葉、それこそが「過去の栄光」である。「昔の生徒は良かった。今の生徒たちは……」という言葉は何の生産性もない。昔の生徒は昔の生徒、今の生徒は今の生徒。昔の劣悪な環境から教訓を得て今がある。――そう、「今」とは「昔」の所業が齎(もたら)した結果なのである。

2012/04/24


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