文科系学問と理科系学問


 私も高校を卒業してだいぶ経つので、今の文部科学省の指導要項がどうなっているのか分かりません(というより文部科学省の指導要項自体が成っていないというのもあります)が、私の高校時代は2年生の終わり頃になると、文科系か理科系かの選択を迫られました。
 大まかに分けて、文科系は英語・国語・社会、理科系は英語・数学・理科が主要3科目です。しかし、数学や理科は必修科目ではありませんが、国語(現代文)や社会は必修科目でした。文科系が数学や理科を履修するしないは自由でしたが、理科系であっても国語や社会は履修しなくてはなりませんでした。つまり、理科系の人は確実に英語・数学・理科・国語・社会の5教科を勉強することになっていたのです。
 ここまでで判断すると、「文科系の方がラクだ」と思われるかもしれません。確かに、理科系は実験やレポートなどで文科系よりも忙しいのは事実です。私は、数学科という理科系の中でも特殊な学科―理科系の中で唯一実験のない学科でしたが、その他の理科系学科に進んだ友達はみんな実験があったそうです。かく言う私も、大学でこそ実験を一度も経験しなかったものの、高校では色々な実験をしましたし、レポートも提出しました。
 しかし、文科系だからといって理科系のことを何も知らなくてよいかと言うともちろんそんなことはなく、大抵後になって苦労するのは決まって「文科系だから数学や理科は学ばなくてもいいや」と言っていた人達なのです。
 現に、私の高校時代でも3年になってから“文転”して成功した人は数人いましたが、逆の“理転”に成功した人は皆無でした。
 文科系の人が、日常ではあまり表立って出てこない数学や理科の専門知識を調べるのは大変ですが、理科系の人でも普段日本語で書かれている新聞や雑誌は読むでしょうし、また現実の世界で何が起こっているかも比較的調べやすいと言えるでしょう。
 そもそも、私に言わせれば『文科系』『理科系』と分けること自体が変だと思います。
 例を挙げれば、経済学部は文科系に入りますが、経済学の中でも過去の統計などを扱う『統計学』や『数理経済学』は、数学です。
 私の大学で簿記を担当している先生は、「数学科の中でも優れた頭脳を持った人に簿記を教えたらどれだけすごいだろうなあ」とおっしゃっていました。理論的な面は特に覚えずともすぐに吸収できるのが数学科の人間の強みだと(少なくとも私は)思っています。
 私の高校の卒業文集で気に入った文章がありましたので、引用させていただきます。
 現代の人たちはトータルで物を見られる人が少なすぎるように思える。よく、「僕は理系だから国語はやらない。」「私は文系だから数学はやらない。」というのを耳にするが僕は、理系だからこそ国語を学び文系だからこそ数学を学ぶべきだと思う。もともと文系とは人文科系・社会科学の分野であり、理系とは自然科学の分野なので科学という視点から見れば文系も理系も共通のものなのである。文系を学び理系を学べば人間の知的分野をほぼ完璧にカバーすることができる。
 この文章を読んで「なるほど」と思いました。私が目指そうとしている“文理を融合させた論文”も、これと同じ考えです。
 それに、幅広く勉強していればそれだけ潰しも利きますしね(笑)。

2005/07/13


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